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熱中症による労働災害の発生状況

 警備業における熱中症の発生状況は、2024年に業種別の発生人数で136人となり産業別発生人数でワースト4位となるなど深刻な問題です。熱中症対策用品の導入。派遣される警備先での職場環境を考慮した対策。契約側と熱中症対策のための休憩や水分補給に関する理解。巡察等における水分補給等の交代要員を手配するなどの対策実施が求められます。

<熱中症発生に関する取り巻く環境の変化>
 熱中症に対する取り巻く環境は、発生件数の増加。発生時の深刻な症状等により急速に認知が広がりました。また、労働災害として発生した際、十分な対策を講じずに発生した場合には行政による指導・監督が厳しい傾向にあります。
 2016年(平成28年)に厚生労働省は、前年の熱中症による死亡災害の発生状況を踏まえ、建設業と屋外で作業する警備業を熱中症予防対策の重点業種として取組が行われました。
 熱中症予防対策を講じずに労働災害として発生した場合、事業者は安全配慮義務違反に問われる場合あり、労働者保護の観点だけでなく企業防衛の観点からも対策実施が重要となっています。
 更に2025年6月1日から改正労働安全衛生規則が施行され、事業者に対して熱中症対策が義務付けされました。

<熱中症対策の義務化内容>改正労働安全衛生規則(2025年6月1日施行)
 事業者は「熱中症を生ずるおそれのある作業」を行う際に、次の熱中症対策が義務化されています。
 ・「熱中症の自覚症状がある作業者」や「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」が報告するための体制整備と関係作業者への周知。
 熱中症のおそれがある労働者を把握し場合に迅速かつ的確な判断が可能となるように、
 ・緊急連絡体系の整備(緊急連絡網・緊急搬送先の連絡先及び所在地)
 ・作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送など重篤化を防止するための手順作成と関係作業者への周知。

 「熱中症を生ずるおそれのある作業」とは、
 「WBGT28度以上又は気温31度以上の環境下で、連続1時間以上又は1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業が対象となります。

<警備業における熱中症の状況>
 厚生労働省令和6年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況 」において、 2024年の警備業における熱中症発生人数は136人。産業別発生件数で製造業、建設業、運送業に次いでワースト4位(2023年はワースト5位)。熱中症により2名が死亡しました。
 また、発生件数でみると前年114人から136人。死亡者数は前年6人から2人の方が亡くなり深刻な状況となっています。
 熱中症に繋がる背景としては、多くの警備業において警備員は警備先へと派遣される業務体系であるため、就業環境の状態管理については現場警備員への依存が大きくなります。このため、現場警備員の就業環境が悪化していても、依頼者側へ申し入れ。交代要員の要請など行い難く就業環境にあると言えます。
 これを改善するためには、警備業者側が積極的に就業環境の把握や状態管理に努めなければ、適切な対策等を行うことは困難です。
 夫々の警備員が派遣される警備先(業務場所)が異なる状況において、それら全ての就業環境の把握と適時休憩等のため交代要員を手配することは、警備業者側にとって多量の労力とコスト必要となるため、未だ多くの警備業者で対策が後手に回っていると思われます。

 一方で2013年(平成25年)6月に兵庫県尼崎市額田町において警備員が熱中症にて死亡した労災事故では、男性警備員3人をガス工事現場で高温多湿な状況での業務に対し、熱中症対策として塩分や飲料水などをとらせる対策を怠たり、男性警備員1人が同日熱中症により死亡させたとして、尼崎労働基準監督署は、熱中症対策を怠ったとして労働安全衛生法違反の疑いで警備会社と同社会長を書類送検するに至りました。

 このように熱中症対策は企業(使用者)の安全衛生に関する重要な責務であると捉えられ、警備業界全体が共通の認識を持ち、各警備業者が対策を実行することが急務となっています。


<熱中症による死傷者数の業種別状況>
 年 建設 製造 運送 警備 清掃
と畜
その
2024
死傷者数
216 227 186 136 113 72 29 10 206 1195
 内、死亡者数 8 6 6 2 2 2 1 0 3 30
2023
死傷者数
209 231 146 114 125 61 27 9 184 1,106
 内、死亡者数 12 4 1 6 3 0 4 0 1 31
2022
死傷者数
179 145 129 91 82 58 21 6 116 827
 内、死亡者数 14 2 1 6 2 2 2 0 1 30
2021
死傷者数
130 87 61 68 63 31 14 7 100 561
 内、死亡者数 11 2 1 1 3 0 2 0 0 20
2020
死傷者数
215 199 137 82 78 61 14 7 166 959
 内、死亡者数 7 6 0 1 2 4 1 0 1 22
2019
死傷者数
153 184 110 73 87 61 19 7 135 829
 内、死亡者数 10 4 2 4 1 0 0 0 4 25
2018
死傷者数
239 221 168 110 118 81 32 5 204 1,178
 内、死亡者数 10 5 4 3 2 0 1 0 3 28
2017
死傷者数
141 114 85 37 41 32 19 7 68 544
 内、死亡者数 8 0 0 2 0 1 2 0 1 14
2016
死傷者数
113 97 67 29 39 37 11 13 56 462
 内、死亡者数 7 0 0 0 1 1 1 1 1 12
2015
死傷者数
113 85 62 40 50 23 13 8 70 464
 内、死亡者数 11 4 1 7 0 2 1 0 3 29
2014
死傷者数
144 84 56 20 28 16 13 7 55 423
 内、死亡者数 6 1 2 0 0 0 1 0 2 12
2013 151 96 68 53 31 28 8 8 87 530
 内、死亡者数 9 7 1 2 3 2 1 1 4 30
2012 143 87 43 27 35 28 7 6 64 440
 内、死亡者数 11 4 0 2 0 1 0 2 1 21
2011 139 70 56 17 25 27 10 6 72 422
 内、死亡者数 7 0 0 3 2 1 2 2 1 18
2010 183 164 85 44 32 44 17 4 83 656
  内、死亡者数 17   2 47 
参考資料:厚生労働省、各年の公表資料「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」

<警備業の熱中症労災害時事例>
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